ジョージ・セパー(George Seper)は、1970年代初頭に米国ニューヨーク市で、演劇作品や俳優のポートレートを撮影することから写真家としてのキャリアをスタートさせました。1974年にオーストラリアを旅したセパーは1978年シドニーで最初のスタジオを設立。そこでヴォーグ誌クリエイティブ・ディレクターのパトリック・ラッセル(Patrick Russell)氏と出会い、アシスタントとして3年間従事しました。その間、著名なスイス人写真家ハンス・フューラー(Hans Feurer)や、同じく伝説的な英国の写真家、ノーマン・パーキンソン(Norman Parkinson)にもアシスタントとして従事しました。
セパー自身の写真家としての仕事は、当初はファッションと美容関連分野が中心であり、ヴォーグ(Vogue)、モード・マガジン(Mode Magazine)、クレオ(Cleo)、GQ(Gentleman's Quarterly)、コスモポリタン(Cosmopolitan)といった著名誌の正規カメラマンとして活躍しました。多くの雑誌の表紙撮影ばかりでなく、紳士服、婦人服の両方の撮影もこなしました。彼の広告主には、オーストラリアのトップレベルのファッション・デザイナー達が含まれていました。
1980年代初めに、セパーは新たなクリエイティブな表現方法を求めて、ヴォーグ誌で紳士服とフード分野の編集を担当していたキャロライン・ロックハー ト(Carolyn Lockhart)氏と共に同誌のフード写真の撮影に取り組み始めました。ファッション・カメラマンとしての視点からフード写真に取り組んだ彼は、35mmカメラを手に持って自然光の中で撮影し、フード写真の撮影に革命をもたらしました。この方法は、1980年代前半まで使われていた従来の撮影方 法に大きな変化をもたらし、1980年代後半に入ると、セパーは被写界深度を浅くして食べ物を撮影する手法の開拓者となりました。この撮影方 法は今日でも利用され、フード写真分野における世界標準となっています。
その後、彼のフード写真は世界30カ国以上の雑誌に掲載され、ヴォーグ・イタリア(Vogue Italia)、マダム・フィガロ・フランス(Madame Figaro France)、GQ(Gentleman's Quarterly)、マーサ・スチュワート・リビング(Martha Stewart Living)、グルメ(Gourmet)、グルメ・トラベラー(Gourmet Traveller)、ヴォーグ・エンタテイニング・アンド・トラベル(Vogue Entertaining + Travel)他各種ヴォーグ誌、さらにロシアからブラジルにいたる様々な国の雑誌上で見られるようになりました。彼は多くの料理本を撮影し、広告主にはウェッジウッド(Wedgewood)、ロイヤル・ドルトン (Royal Doulton)、マクドナルド(McDonalds)、サラ・リーとコンチネンタル食品(Sara Lee and Continental food)などが含まれています。彼は自身の長いキャリアを通して、ロンドン、パリ、ニューヨークで幅広く活動しています。
1980年代半ばにはファッション業界を後にしたセパーは、フード写真撮影での大成功と同時に、1980年代後半にはヴォーグ・リビング (Vogue Living)誌向けのインテリア写真の撮影に取り組み始めました。この分野でも、彼は大成功を収めることになり、リッツ・カールトン・ホテル(Ritz Carlton Hotels)、ヒルトン・ホテル(The Hilton Hotels)、カンタス航空(Qantas)、スリランカ航空(Air Lanka airlines)などの広告クライアントのみならず、ベル・マガジン(Belle Magazine)、ハウス・アンド・ガーデン(House and Garden)、ホーム・ビューティフル(Home Beautiful)、ベター・ホームズ・アンド・ガーデンズの専属カメラマンとして活躍しました。
2000年からは活動を一時休止して、自前のヨットで数回にわたる長期間の航海に出ました。その間にリフレッシュし気持ちを新たにして、2005年に再び第一線に復帰しました。現在、オーストラリアのマードック・ブックス社(Murdoch Books)発行の6つの料理本のシリーズの写真撮影に取り組んでいます。
現在、セパーは、ストック・フード社(Stock Food)とエージェント契約を結び、世界に向けて活動中です。
セパーは、過去数年間、軍隊での写真撮影アシスタントとしての経験があります。そこで培った多くの経験が、現在までの彼のキャリアに活かされています。彼は自身の写真と写真ビジネスに関する膨大な知識を伝えるために、このコースを執筆することを決意しました。私たちは、彼がそのユニークな技術を伝授するための場所として、私たちフォトグラフィー・インスティテュートを選んでくれたことを心から嬉しく思います。
また、コースの内容は、単なる技術論に限らずに、理解しやすいように上手にまとめられていて、楽しみながら学べました。この点が、長い間、学ぶことから遠ざかっていた私には、とても重要なポイントでした。
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